隠された風景






ペットブームの裏に隠された無情にも処分される動物たちに始まり、人間のために肉にされる家畜の命、そして最後に人間の命について書かれている本。実際にその現場に足を運び、著者自身が死と向き合った一冊。
パラパラとこの本をめくって、最初読もうかどうか戸惑った。
でも、読んでよかったと今は思う。
私たちの生の裏には、必ず犠牲になっている死があり、人間のエゴでたくさんの命が消えている事もあらためてわかった。
肉に関しては、スーパーでパックになって売っている肉が私たちの知っている「肉」であるが、その肉になる過程を誰も知ろうとしない。おいしいお肉が食べられるのも、肉になるために産まれてきた家畜がいて、家畜を育てる人、加工する人、検査する人がいること、を忘れてはいけない。
そして牛、豚、鶏など感染病などの問題で、加工されてから検査し異常が見つかると、その肉は出荷されずに捨てられる。なんのために殺されたのか。

私たちは毎日のように肉を食べているのに、私たち消費者のために大変な仕事に関わっている人への感謝や動物に対するかわいそうな事実からは逃避しているのだ。

ある学校では、人は命をもらって生きている事を学ぶため、卵から孵化させたブロイラーを育て、殺し、解体、食べる所まで食育の一環としている所がある。
もちろん、どの生徒も自分の育てたブロイラーを自らの手で殺す事は、本当につらかったと思う。私自身読みながら涙が止まらなかった。でも、そういった過程を知ることは、私たちが常に命をもらって生きているという事に気づかせてくれる大事なこと。それを知れば、食べ物を粗末にしたり、必要以上に動物たちを殺さなくなるのではないか。

不要な死を少しでも減らすために何ができるか。それがこれからの大きな課題だと思う。
この本は今後の解決策は述べていないものの、命をもらって生きている事の感謝の気持ちや人間の「死」に対する考えの軽率さ、知識のなさに気づかせてくれる一冊。

本の中に隠されたものを見る勇気が日本を救うと書いてあったが私もその通りだと思う。

ぜひたくさんの方に読んでほしいと思いました。

 

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